神経発達症(神経発達障害)
皆さん、神経発達症(神経発達障害)という言葉をお聞きになったことがありますか?
アメリカの精神医学会の出版局によって発行されている最新の診断基準(DSM-5®)があり、その中の分類のひとつです。
日本の精神神経学会によって新たに出された日本語訳が作成されています。
神経発達症のなかには、以下が含まれています。
- 知的障害(知的発達症)
- コミュニケーション症(コミュニケーション障害)
- 自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 限局性学習症(限局性学習障害)
- 運動症群(運動障害群)
- その他の神経発達症群(他の神経発達障害)
以前、私が勤めていた療育センターで以前統計をとったことがありますが、3歳未満の新規相談件数の9割近くがこの神経発達症のこどもたちでした。
相談がはじまるきっかけとしては保健センターでの健診やかかりつけの小児科医の先生からの指摘、次いで保育園や幼稚園からの指摘、そしてお母さん・お父さんの「なにか違う」という気づきが多かったです。
いわゆる「脳性まひ」のように立ったり歩いたりなどの運動機能に大きな問題はないことも多く、一見すると何も問題ないように見えます。
相談内容としては、「言葉の遅れ」が半数以上と最も多く、「落ち着きがない」、「かんしゃく」、「こだわり」、「集団になじめない」、「人見知りがつよい」が多かったです。
そのほか、「オウム返しがある」、「つま先立ちの癖がある」、「発音が悪い」などもあり相談内容は実に多彩です。
これらの多くは保護者の育て方の問題でもなくこども自身の努力不足でもありません。
脳(神経)の発達による「違い」によるものなのです。
大事なのは早く気付くこと。そして一人で悩まないこと。
その子に応じた環境調整の仕方や健康上の注意点、園や学校との連携の仕方など子育てのコツがありますので、まずは経験のある小児科医に相談してみましょう。
小児神経学会でも専門医リストを紹介していますので、参考にしてみてください。